「子どものSNS規制 広がる背景は」
NHK (2026年8月28日)
NHKのニュース内で、夏休みに子どもたちからの質問に答えるコーナーで放送された解説です。
内容は、子どものSNSの利用で犯罪やトラブルに巻き込まれる例が日本でも世界でも増加しているため、利用の制限を強化する、または制限している国の例などに関するものです。それに対してSNSが貴重な交流の機会になっていたり、通信の自由を定めた憲法に違反している、などの議論があることも紹介しています。
この放送自体はとても重要な指摘です。特に、
- 去年1年間にSNSがきっかけで性犯罪などの被害にあった子どもは1500人余り
- うち小学生は167人と過去10年で最多
- SNSなどを使った「ネットいじめ」も2024年度2万7300件余りで過去最多
といった実数は、多くの人にとって驚きと不安を感じさせるものです。
一方で、子どもの不適切なネット利用やネット犯罪被害を防ぐための対策が、利用制限だけでいいのでしょうか?
これまでの利用制限だけでは、根本的な問題解決には限界があります。インターネットは既に社会インフラとなり、利用しないで過ごすことは、仕事や社会生活に支障をきたします。そして利用開始年齢など法律や利用規約に適合した条件でSNSなどに参加していくこともまた、社会活動の一部として経験していくことは当然の行為です。
もし規制を強化して、ある条件を満たすまで一切利用しないことが当たり前になると、使い方や注意事項を学ぶ機会がないまま、条件を満たした瞬間から自分の責任で参加していくことになります。
本来は、いつから使うか、どう使うか、という考え方ではなく、なぜそのようにふるまうのか、どう判断すべきか、を学ぶ機会を増やすことです。実際のケースや対話を通じて得られる判断力は、利用制限などの管理に頼らずに、自己管理を可能にしていく経験になります。
「デジタル・シティズンシップ」とは、欧米で最近広まっている、ネットに参加する「よき公民」についての考え方です。情報の正しさを見極める、プライバシーや著作権を守る、お互いを尊重する、適切な表現でコミュニケーションを行う、社会課題への貢献をする、といった能力を養う。そのように学んだ人が責任あるふるまいを増やしていったとき、ネット空間は「カオスな路地裏」から「安心できる公共空間」へと移行します。安全でない環境から建設的なデジタル空間へと変容させることが目的です。
欧米で広まっている理由はもちろん、日本と同様、報道にあるようは犯罪被害や不適切なコミュニケーションが増加しているからです。その対策として生まれてきたのがデジタル・シティズンシップ教育です。
子どもを含めインターネット利用者を守ることは、国の制度による管理や、運営会社による制限で実現するものではありません。利用者一人ひとりの行動、振る舞いによって変えていくものです。安全安心のために自分たちで行動を変えることができなければ、いつか強制的に行動を制限されることになってしまいます。
このような姿勢を社会全体に定着させていく方法は、日本ではまだ普及した価値観とはいえないデジタル・シティズンシップ教育だと考えています。より具体的には以下のとおりです。
- 学校でのICT教育を「規制」「制限」から移行し、安全で効果的にネット参加していくための学習カリキュラムを整理していくこと。
- 家庭での利用の方が多いので、家庭でも共通の価値観でルールや使い方を考えるため保護者の学習の機会を用意し、学校と連携していくこと。
- 学校以外の企業や団体でもデジタル・シティズンシップに基づいたサイトやアプリの運営と、利用について標準化していくこと。
- 単発の研修や標準の教科書ではなく、AIなど最新のテクノロジーや変化に対応できるように継続的な学習機会を整えること。
オリザハウスでは学校等へ出張してデジタル・シティズンシップについて学ぶプログラムを提供しています。児童生徒対象はもちろん、教職員への研修、保護者向けの講演など、経験のある講師が実施します。
また個別の困りごとへの相談も受け付けています。
もっと知りたい、詳しく話をしたい、などお気軽にご連絡ください。以下のフォームからご連絡いただけたらメールにて返信します。相談は無料です。
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